
Part1(写真描写問題)の全6問で失点する受験者の多くは、「意味は分かるのに引っかかった」という体験をしている。その根本原因は知識不足ではなく、制作側が意図的に組み込む4つの誘導パターンを知らないことにある。パターンを事前に把握していれば、音声を聴きながらでも罠を見抜ける。

4パターンを先に把握する
| パターン | 具体例(誤答選択肢の罠) | 見抜き方 |
|---|---|---|
| 1. 状態 vs 動作の混同 | wearing(状態)と putting on(動作中)を混用 | 写真の人物が「その動作を今やっているか」を確認 |
| 2. 写真にない物の描写 | 写真に映っていない机や人物を正確に描写した選択肢 | 選択肢の名詞が写真内に実際にあるかをチェック |
| 3. 音の類似語(音韻的ひっかけ) | close(閉じる)と cross(渡る)、sea(海)と see(見る)など | 聴き終えた後、文脈と写真の内容から照合する |
| 4. 受動態の主語ミス | 荷物が「置かれている」のに、人が主語の文で「置いている最中」と描写 | 受動態(be being done)と状態(be done)の区別を確認 |
パターン1 — wearing vs putting on、状態と動作は別物
最も頻繁に機能するひっかけが、着用「状態」と着用「動作」の混用だ。
- A man is wearing a suit. → スーツを着ている状態。写真の人物がスーツ姿であれば正解。
- A man is putting on a suit. → スーツを着ている動作の最中。袖を通している瞬間が写っていなければ誤り。
日本語では両方「着ている」と訳せるが、英語では状態と動作が厳密に区別される。写真の人物が「その動作を今やっているか」を先に確認してから選択肢を判定する。
例題(Part1・状態 vs 動作)
写真の状況: スーツを着た男性が机に向かって座り、書類を読んでいる。(選択肢A〜Dは音声のみで読み上げられる)
- A man is putting on a jacket.
- A man is opening a window.
- A man is wearing a suit.
- A man is standing by the door.
解答・解説を見る
正解: (C) A man is wearing a suit.
男性はすでにスーツを着た「状態」なので wearing が正しい。(A) putting on は「今まさに上着を着る動作の最中」を表すが、写真にその動作はないため誤り(状態 vs 動作の混同)。(B) は写真に窓を開ける動作がない、(D) は男性が座っており立っていないため誤り。
同じ構造が他の表現にも展開される。
| 状態(is + 形容詞/過去分詞) | 動作(is + 現在分詞) |
|---|---|
| is seated(座っている状態) | is sitting down(座りかけている動作) |
| is parked(駐車された状態) | is parking(駐車している動作) |
| is displayed(陳列されている状態) | is being displayed(陳列されている最中) |
| is closed(閉まっている状態) | is closing(閉まりかけている動作) |

パターン2 — 写真に存在しない物を正確に描写する
この罠は「細部が正確な描写」に聞こえる選択肢が、実は写真に存在しない物を述べているケースだ。写真に「机と椅子とノートパソコン」が映っていても、選択肢が "There are some books on the shelf." と述べていれば、本棚が映っていない限り誤りになる。
描写内容が自然でも、写真に実在しない名詞を主体にした選択肢は必ず誤答だ。選択肢の中で最初に出てくる名詞(人・物・場所)が写真内に本当にあるかを視覚的に確認する習慣をつける。
パターン3 — 発音が似た語で意味が別の「音韻的ひっかけ」
Part1は選択肢が音声のみで読み上げられる。視覚的に確認できないため、発音の類似によるひっかけが機能しやすい。
Part1で頻出する音の類似ペア
- close(クローズ:閉じる)/ cross(クロス:横断する) — "crossing a bridge" と "closing a window" は写真の状況次第で意味が正反対になる。
- seat(シート:席)/ sheet(シート:紙) — 文脈で判断できるが、耳だけで聞いていると混同しやすい。
- aisle(アイル:通路)/ isle(アイル:小島) — 発音はほぼ同じ。写真がスーパーマーケットなら aisle、海岸なら isle と文脈で判断する。
- board(ボード:板/搭乗する)/ bored(ボード:退屈した) — "boarding a bus" と "looking bored" では意味が大きく異なる。
対処法は一つ。選択肢を聴いている途中ではなく、聴き終えた後に写真と照合する。音声に引きずられて「聞こえた音から連想される光景」が浮かんでも、写真の実際の内容と照合してから判定する習慣が、この罠を外す唯一の方法だ。

パターン4 — 受動態の主語と動作の有無
写真に「荷物が棚に積まれている」場面が映っている場合、正しい描写は "Boxes are stacked on the shelves."(状態の受動)だ。誤った描写として "A person is stacking boxes on the shelves." が提示されることがある。写真に人物が映っていないか、人物が棚から離れている場合、この動作描写は誤りになる。
受動態の2種類を見分けることも重要だ。
- 状態の受動: "Boxes are stacked." — 積まれている状態を描写。積んだ動作は問わない。
- 動作の受動: "Boxes are being stacked." — 今まさに積まれている最中の動作を描写。写真でその動作が進行中でなければ誤り。受動態表現がPart1でどのように出題されるかはPart1の受動態パターン解説で整理している。
Part1では写真に人物が登場しないシーンも多い。そのような写真で "A worker is doing..." という能動態の選択肢が提示された場合、ほぼ誤答だ。人物が映っていない写真では、状態の受動態または物主語の表現が正解になることが多い。

4パターンへの共通対処法
4つのパターンに共通する対処は「写真を3点で先に分析すること」だ。
- 人物の有無 — 人が映っていれば能動態も候補に入るが、いなければ状態・受動態中心で聴く。
- 動作中か状態か — 人物が何かを「している最中」かどうかを視認してから選択肢を聴く。
- 写真内に何があるか — 主な物・場所を先に把握しておくと、存在しない物を描写した選択肢を即排除できる。
Part1でどんな場面の写真が多く出るかはPart1の場面別出題分布を確認しておくと、どのひっかけが起きやすい写真かが予測できる。ScordiaのPart1リスニング問題では各設問でひっかけの分類を確認でき、Part1全6問の安定化に直結する。
Part1のひっかけ対策から、リスニング全体のスコアアップに向けたPart別攻略法はTOEICリスニング完全攻略ガイドで体系的にまとめています。Part1・Part2を一記事で体系化したTOEIC Part1+2完全攻略ガイドでは場面別パターン・消去法・間接応答の全体像を確認できます。
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