
「TOEIC」と一口に言っても、実際には複数の異なるテストが存在する。日本で最も受験者数が多いのはTOEIC Listening & Reading(L&R)だが、TOEIC Speaking & Writing(S&W)という別のテストもある。
この2つは測定するスキルが根本的に異なる。L&Rが「受信(インプット)」を、S&Wが「発信(アウトプット)」を測る設計になっている。
出典: IIBC公式(一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)
TOEIC L&R — 聴く・読む2技能を測る
TOEIC Listening & Reading Testは、英語の「聞く力」と「読む力」を評価する試験だ。1990年に日本で導入されて以来、社会人の英語力評価指標として定着している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 測定技能 | Listening(聴く)・Reading(読む) |
| 試験時間 | リスニング 45分 / リーディング 75分(計120分) |
| 問題数 | 200問(リスニング100問 + リーディング100問) |
| 解答方式 | マークシート(HBの鉛筆またはシャープペンシル) |
| スコア | 10〜990点(5点刻み) |
| 実施形式 | 紙の冊子+マークシート(会場試験) |
TOEIC S&W — 話す・書く2技能を測る
TOEIC Speaking & Writing Testsは、英語の「話す力」と「書く力」を別々に評価するテストだ。2007年に導入された。L&Rとは異なり、コンピューターを使って受験する形式が特徴で、Speaking は音声録音、Writing はキーボード入力で解答する。
| 項目 | Speaking | Writing |
|---|---|---|
| 測定技能 | 話す | 書く |
| 問題数 | 11問 | 8問 |
| 試験時間 | 約20分 | 約60分 |
| スコア範囲 | 0〜200点 | 0〜200点 |
| 解答方式 | 音声録音(コンピューター) | キーボード入力(コンピューター) |
| 導入年 | 2007年 | 2007年 |
S&WはL&Rと比較して受験者数は少ないが、グローバルな業務でスピーキング・ライティング能力の証明が必要な場面では有効だ。L&RのスコアをCEFRや英検と照合して自分のレベルを把握するにはTOEICスコアとCEFR・英検の換算マップが役立つ。
L&RとS&Wのスコア体系の違い
スコアの仕組みが異なる点も重要だ。L&Rは合計1本のスコア(10〜990点)で報告されるのに対し、S&WはSpeakingとWritingのスコアがそれぞれ独立して報告される(各0〜200点)。
| テスト | スコア形式 | 満点 |
|---|---|---|
| TOEIC L&R | Listening + Reading = 合計スコア(1本) | 990点 |
| TOEIC Speaking | Speakingスコア(独立) | 200点 |
| TOEIC Writing | Writingスコア(独立) | 200点 |
ビジネス場面でどう使い分けるか
企業の採用・昇格基準に使われるのは現在もL&Rが中心だ。「TOEIC 700点以上」といった基準を設けている企業の多くは、L&Rのスコアを指している。
一方、海外駐在や外資系企業の面接など、実際に英語を話す・書く場面でスキルを証明する必要がある場合はS&Wが有効になる。日本国内では認知度が高まりつつある段階だが、グローバル企業での採用においては両方のスコアを求められるケースも増えている。国際的な文脈でL&RやS&WをTOEFL・IELTSと比較する際はTOEIC・TOEFL・IELTSの違いと使い分けが参考になる。
S&Wの問題形式の具体例
S&Wの試験内容はL&Rほど広く知られていない。どのような設問が出るかを知っておくと、受験を検討する際の判断材料になる。
Speaking(11問・約20分)の問題構成は以下のとおりだ。
- 問題1〜2: 文章を読み上げる(Read a text aloud)
- 問題3〜4: 写真を描写する(Describe a picture)
- 問題5〜7: 質問に答える(Respond to questions)
- 問題8〜10: 情報をもとに質問に答える(Respond to questions using information provided)
- 問題11: 意見を述べる(Express an opinion)
Writing(8問・約60分)の問題構成は以下のとおりだ。
- 問題1〜5: 写真に合う文章を作る(Write a sentence based on a picture)
- 問題6〜7: メールに返信する(Respond to a written request)
- 問題8: エッセイを書く(Write an essay)
L&Rは選択式で解答するのに対し、S&Wは自分で英文を産出する必要がある。この違いが、求められる英語力の質の違いを示している。
Q. L&RとS&Wは同日に受験できますか?
A. L&RとS&Wは別日程・別会場で実施される独立したテストです。同日に両方を受験することはできません。それぞれ個別に申し込む必要があります(IIBC公式情報)。
Q. どちらを先に受けるべきですか?
A. 就職・転職活動で広く求められるのはL&Rです。まずL&Rで目標スコアを達成し、アウトプット力の証明が必要な機会が生じた時点でS&Wを検討するのが現実的な順序です。
TOEIC L&Rでスコアを伸ばすための学習計画・Part別対策の全体像はTOEIC勉強法完全ガイドで詳しく解説しています。
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Scordia編集部のコメント
TOEIC L&RとS&Wを「別々の試験」として明確に理解せずに受験計画を立てる学習者は少なくない。Scordia編集部が学習相談を受けた事例では「L&Rを730点取ったのにS&Wを求められて困った」というケースが実際にあった。日本国内の採用・昇格基準ではL&Rのスコアが主流だが、外資系企業や海外赴任先では出力スキルの証明が求められる場面が増えている。目標とするキャリアパスに合わせて、どちらの試験が必要かを事前に確認することが重要だ。
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