
「TOEIC」という名前は1つだが、実際には複数の独立した試験シリーズで構成されている。日本で年間230万人超が受験するのがTOEIC Listening & Reading(L&R)、そして「話す・書く」アウトプットを測るのがTOEIC Speaking & Writing(S&W)だ(IIBC公式2023年度データより)。
2つの試験はスコア体系・受験形式・問題数・使われる場面がすべて異なる。「どちらを受けるべきか」の判断は、目標とするキャリアパスによって変わる。
L&RとS&Wを一覧で比較する
IIBC公式情報をもとに2つの試験の主要スペックを並べる。
| 比較項目 | TOEIC L&R | TOEIC S&W |
|---|---|---|
| 測定技能 | Listening(聴く)・Reading(読む) | Speaking(話す)・Writing(書く) |
| 試験時間 | 計120分(L:45分 / R:75分) | Speaking約20分 / Writing約60分 |
| 問題数 | 200問超 | Speaking 11問 / Writing 8問 |
| 解答方式 | マークシート(紙・会場) | 音声録音 / キーボード入力(コンピューター) |
| スコア形式 | 合計1本(10〜990点・5点刻み) | Speaking 0〜200点 / Writing 0〜200点(独立) |
| 導入年 | 1990年(日本) | 2007年(日本) |
| 主な用途 | 転職・昇格・新卒採用の英語力証明 | 海外赴任・外資系採用・国際業務でのアウトプット証明 |
出典: IIBC公式(一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)
スコア体系の構造的な違い
採点の仕組みが異なる点は特に把握しておく価値がある。L&Rは「Listening + Reading = 合計スコア(1本)」という形で報告される。一方、S&WはSpeakingとWritingのスコアがそれぞれ独立した数値として報告されるため、合算の概念がない。
「TOEIC 730点取得」と履歴書に書く場合、これはL&Rの合計スコアを指している。S&WのスコアはSpeaking 160点・Writing 170点のように個別に記載する形式になる。どちらの数値を提示すべきかは提出先の要求による。
S&Wの問題形式 — L&Rとどう違うか
L&Rはマークシートで「正解を選ぶ」試験だ。S&Wは英語を自ら産出しなければならない。Speaking(11問・約20分)とWriting(8問・約60分)の具体的な問題構成は以下のとおりだ。
Speaking(11問)
- 問題1〜2: 文章を読み上げる(Read a text aloud)
- 問題3〜4: 写真を描写する(Describe a picture)
- 問題5〜7: 質問に答える(Respond to questions)
- 問題8〜10: 提供された情報をもとに質問に答える
- 問題11: 意見を述べる(Express an opinion)
Writing(8問)
- 問題1〜5: 写真に合う文章を作る(Write a sentence based on a picture)
- 問題6〜7: メールに返信する(Respond to a written request)
- 問題8: エッセイを書く(Write an essay)
選択肢を選ぶL&Rと、英文を自分で組み立てるS&Wでは、試験対策の方向性がまったく異なる。S&Wの準備なしにL&R対策だけを積んでも、Speaking・Writingのスコアは上がらない。
Q. L&RとS&Wは同日に受験できますか?
A. 別日程・別会場で実施される独立したテストのため、同日受験はできません。それぞれ個別に申し込む必要があります(IIBC公式情報)。
キャリア目標別の使い分け判断
日本企業の採用・昇格基準はL&Rが主流だ。「TOEIC 700点以上」という要件を設けている企業の多くはL&Rのスコアを指している。一方、以下の場面ではS&Wが求められる可能性が高い。
- 外資系企業への転職: 英語でのコミュニケーション能力を採用段階で確認するため、S&WスコアをL&Rに加えて提出を求めるケースがある
- 海外赴任・海外駐在: 現地でのプレゼンテーションや取引先とのメールのやり取りに直結するスキルをS&Wで証明する
- 国際業務担当への異動: 社内での英語使用場面が増える際に、L&Rに加えてS&Wスコアを求める企業も存在する
国際的な文脈でL&RやS&WをTOEFL・IELTSと比較したい場合はTOEIC・TOEFL・IELTSの違いと使い分けが参考になる。
Q. どちらを先に受けるべきですか?
A. 就職・転職で広く求められるのはL&Rです。まずL&Rで目標スコアを達成し、アウトプット力の証明が必要な場面が生じた時点でS&Wを検討するのが現実的な順序です。
Q. TOEIC S&WのスコアはL&Rに合算されますか?
A. 合算されません。L&Rは10〜990点の合計スコア1本、S&WはSpeakingとWritingがそれぞれ独立した0〜200点のスコアとして別々に報告されます。
L&RスコアをCEFRや英検と照合して自分のレベルを把握するにはTOEICスコアとCEFR・英検の換算マップが役立つ。TOEIC L&Rでスコアを伸ばすための学習計画・Part別対策の全体像はTOEIC勉強法完全ガイドで確認できる。
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