
自宅のパソコン一台で、面接官もなく60分でスピーキングまで測る英語試験がある。Duolingo English Test(DET)だ。海外大学院への出願というと真っ先にTOEFLかIELTSが浮かぶが、近年はDETを併記する募集要項が増えている。既存の海外大学院出願ガイドはTOEFL・IELTS中心に整理してきたが、ここではTOEICとDETという組み合わせに絞って、一次情報だけで両者の関係を確認する。
DETは自宅受験60分・59ドル・結果2日 ― 公式ブログの数字
Duolingo公式ブログによると、DETの受験料は59ドル、所要時間は1時間のみで、結果は2日以内に届く。スコアは10〜160点のスケールを5点刻みで表示し、Reading(読む)・Writing(書く)・Listening(聞く)・Speaking(話す)の4技能それぞれをサブスコアとして算出したうえで、総合スコアを出す仕組みだ(Duolingo公式「How is the DET scored?」)。さらにLiteracy(読む+書く)、Comprehension(読む+聞く)、Conversation(話す+聞く)、Production(話す+書く)という組み合わせスコアも表示される。
| 項目 | TOEIC L&R | Duolingo English Test |
|---|---|---|
| 測定技能 | リスニング・リーディング | リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング |
| スコア範囲 | 10〜990点(5点刻み) | 10〜160点(5点刻み) |
| 受験形式 | 指定会場でのマークシート | 自宅オンライン・AI監督 |
| 所要時間 | 約2時間 | 約1時間 |
(出所: IIBC公式サイト、Duolingo公式ブログ「Preparing for the Duolingo English Test」「How is the Duolingo English Test scored?」)

TOEICが測らない「話す・書く」をDETは測る
TOEIC L&Rはリスニングとリーディングのみを測定するテストだ。スピーキング・ライティングを測るにはTOEIC Speaking & Writing Testsを別途受験する必要がある。一方DETは、1回の受験で4技能すべてを測定し、しかも自宅で完結する。海外大学院の出願要件で「英語運用能力を総合的に示すこと」を求められる場面では、この設計の違いがそのまま出願書類の組み方に影響する。
公式な換算表は存在しない
TOEICはスピーキング・ライティングを評価しないのに対し、DETはスピーキング・ライティングを含めて評価するため、2つの試験のスコアを正確に換算するのは構造的に難しい。IIBC公式サイトにはTOEIC各テストとCEFR(欧州言語共通参照枠)の対照表が公開されているが(ETSの2008年・2021年研究に基づく)、これはTOEIC単独の対照表であり、DETとの直接換算を示すものではない。DET側もCEFRとの対照は独自に公開しているが、IIBCとDuolingo社の間で合意された共通の換算表は確認できなかった。
つまり「TOEIC◯◯点はDET◯◯点相当」という数字がネット上に出回っていたとしても、それは民間の推定値であり、IIBCまたはDuolingo社が公式に認めた換算ではない。出願先がDETのスコアを求めている場合、TOEICのスコアをいくら高く持っていても、原則として代替にはならない。

海外大学院出願では、まず出願先の指定を確認する
受験対策サイト各社の集計によれば、日本国内でDETを採用しているのは筑波大学・国際基督教大学・立命館大学・早稲田大学(SILS・SPSE等)など約20大学、世界では5,000を超える大学・教育機関が採用しているとされる。数は年々増えているが、大学院・医学系・法律系プログラムではTOEFLやIELTSを別途指定するケースも残っている。TOEICが海外大学院の出願要件として認められることはほとんどなく、この点はDETが登場する前から変わっていない。海外大学院出願の全体像は海外大学院出願とTOEICの関係、TOEFL・IELTSとの比較はTOEIC・TOEFL・IELTSの違いで詳しく扱っている。
出願先の要件がTOEFLでもIELTSでもDETでもない場合、つまり国内での就職・キャリア形成が主目的であれば、TOEICで着実にスコアを積み上げる方が現実的だ。リスニング模試・リーディング模試の両方で今の実力を確認しておくと、次に受けるべき試験の選択にも迷いにくくなる。TOEICという試験そのものの全体像はTOEIC完全ガイドを参照してほしい。
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