
勉強法
TOEIC模試は何回やればいい?頻度と逆効果になる理由
「模試は多く解けば解くほど伸びる」という考えが、学習者の間で根強く信じられている。週に1回の模試を続けているのにスコアが上がらない、という相談の多くが、この前提から来ている。
結論から言うと、模試は「受けるだけ」では学習効果が出ない。受験頻度よりも、受けた後の復習サイクルが機能しているかどうかが問題だ。そして復習に必要な時間を考えると、多くの学習者にとって「毎週」は過剰であり、品質を保った学習ができない。
前提となる試験規模: TOEIC L&Rは200問・120分。復習を本番と同等の質で行う場合、全設問の解説確認・音声の聴き直し・間違えた箇所の再解きを含めると、最低でも2〜3時間を要する(Scordia編集部による推計)。模試1回ぶんの復習コストを基準に、適切な受験間隔を考える必要がある。
模試を「毎週」受ける場合に起きること
毎週末に模試を受ける場合、1週間のうち2〜3日は模試の復習に使うことになる。残る平日は通常の単語・文法・問題演習に充てるため、新しいインプットのための時間がほぼなくなる。
| 学習サイクル | 1週間あたりの模試時間 | 復習時間 | インプット時間 | 問題点 |
|---|---|---|---|---|
| 毎週模試 | 2時間 | 2〜3時間 | 3〜4時間程度 | 語彙・文法の新規インプットが不足。知らない表現が解消されないまま模試を繰り返す |
| 隔週模試 | 平均1時間(2週で換算) | 2〜3時間(2週で換算) | 9〜10時間 | インプットの余裕が生まれる。復習で浮かんだ弱点を次の週で潰せる |
| 月1模試 | 0.5時間(4週で換算) | 2〜3時間(4週で換算) | 15時間超 | インプット量は最大だが、本番形式への慣れが薄れる。直前期は週1に切り替えが必要 |
過剰受験が逆効果になる3つの理由
- 復習が表面的になる — 毎週模試を受けていると、「全問解説を読む時間がない」状態になる。誤答だけ確認して終わる、または確認すら飛ばすようになる。解説を読んでも定着しないまま次の模試に進むことで、同じ誤答パターンが繰り返される。
- 疲弊による正答率の低下 — 120分の集中を毎週繰り返すと、後半週には「模試疲れ」が現れる。集中の質が下がると正答率が下がり、「スコアが伸びていない」という感覚だけが残る。
- 本番との区別が曖昧になる — 模試を頻繁に受けると、本番と模試の緊張感の差が縮まる。本番の緊張に慣れるという見方もあるが、本番に向けてコンディションを整える感覚が失われるリスクもある。
スコア帯別の推奨頻度
模試の適切な頻度はスコア帯によっても変わる。現在のスコアと目標スコアの距離、試験本番までの期間を考慮して判断する。
| 現在のスコア帯 | 推奨頻度 | 理由 |
|---|---|---|
| 600点未満 | 月1〜2回 | 語彙・文法の基礎インプットを優先。模試に慣れる目的で月1が基本。試験1ヶ月前から隔週に移行。 |
| 600〜730点台 | 隔週 | Part別の弱点が分散していることが多い。2週ごとに模試 → 弱点パート集中演習のサイクルが機能しやすい。 |
| 750点以上 | 月1〜隔週(直前期のみ毎週可) | この帯は細かい精度向上が課題で、大量の模試より精読・精聴を優先する時期。試験前3〜4週のみ毎週受験に切り替える。 |
復習の質を決める「3日以内の第二読み」
模試を受けた後の復習で最も重要なのは、受験当日よりも「2〜3日後の再確認」だ。当日解説を読んだだけでは記憶に定着しにくく、数日後に再度誤答を見直すことで初めて長期記憶に移行しやすくなる。
有効な模試復習の手順(2段階)
- 受験当日(2〜3時間以内): 全誤答に印をつける。解説を読み、「なぜ誤ったか」をメモ。音声問題は誤答箇所を1〜2回再生して聴き直し。
- 2〜3日後(30〜45分): 当日メモした誤答をもう一度見直す。同じ問題を選択肢を隠して再解する。「今なら正解できるか」を確認。正解できれば定着。できなければ別の演習に進む。
この2段階の復習が機能するためには、次の模試が「3日後の再確認を終えてから」設定されている必要がある。毎週模試では、第二読みをする前に次の模試が来てしまうサイクルになりやすい。
本番直前1ヶ月の詳細な時間配分は試験1週間前の戦略記事で別途まとめている。模試演習と平行して行うべき設問別演習はPart5演習やPart7演習で単独強化できる。
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