
高校生が TOEIC を受験する理由は三つに分かれる。推薦・AO 入試でのスコア提出、大学入学後や社会人を見据えた英語力の先取り、そして単純に「自分の英語力を数値で知りたい」という目的だ。目的が違えば、狙うべきスコアも学習の優先順位も変わる。
IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)は年次の受験統計を公開しているが、高校生のみを切り出した全国平均は非公開だ。ただし複数の大学が公表している入学生の英語力データや受験予備校の調査から、TOEIC を自主的に受験した高校生の平均は 450〜520 点台と推定されている。英語が得意な生徒が自発的に受けやすいことを踏まえると、高校生全体では 400 点前後が実態に近い可能性が高い。

英検レベル別で見る、TOEIC スコアの現実的な目安
TOEIC に初めて挑戦する高校生が自分のスコア水準を把握するには、英検のレベルを目安にするのが分かりやすい。英検と TOEIC には公式の換算表はないが、各試験の語彙・文法・読解難度の比較研究や予備校データから、おおよその対応関係が知られている。
| 英検レベルの目安 | TOEIC L&R 想定スコア | 高校での学年イメージ |
|---|---|---|
| 英検 3 級相当(中学卒業レベル) | 350〜430 点 | 高校 1 年生前半 |
| 英検準 2 級相当 | 430〜530 点 | 高校 1〜2 年生 |
| 英検 2 級相当 | 530〜640 点 | 高校 2〜3 年生(標準的な受験生) |
| 英検準 1 級相当 | 640〜780 点 | 英語を得意科目にしている高校生 |
英検 2 級は大学受験で「英語力の一定水準」とされる資格だが、TOEIC 換算では 530〜640 点と全受験者平均(2023 年度 IIBC 公開データ: 約 612 点)と近い水準だ。つまり高校生が「TOEIC 600 点」を取れれば、全受験者の中央付近に位置することになる。
目的別:高校生が目指すべきスコアライン
推薦・AO 入試(総合型選抜)での活用
総合型選抜で TOEIC スコアの提出を認める大学は年々増えている。一般的には 600 点以上がアピールの出発点だ。国際系・グローバル展開を掲げる学部では 700〜750 点以上を求めるケースもある。ただし出願資格のスコアラインは大学ごとに異なるため、志望校の最新の募集要項を確認することが絶対の前提になる。

注意が必要なのは、「大学入試に使えると聞いた」という情報だけで対策を始めるパターンだ。TOEIC を出願書類に添付できる大学であっても、英検の方が必要スコアを取りやすい・受験機会が多いというケースは少なくない。TOEIC とは何が違うかを把握した上で試験選択をすること。英検との比較についてはTOEIC と英検の違いと選び方を参照してほしい。
一般選抜での TOEIC 活用は限定的
現状、一般選抜で TOEIC を英語試験の代替として使用できる大学は少ない。一部の私立大学が外部試験として認めているが、センター試験廃止後も TOEIC を一般選抜の主軸に置いている大学は多くない。一般選抜が主戦場の場合、TOEIC より英検準 1 級や共通テスト対策を優先する方が現実的だ。
大学進学後・社会人を見据えた先取り
大学で TOEIC が必須になるケースや、就職活動で 600〜730 点を求められる企業は多い。高校生のうちに 500〜600 点台を取っておけば、大学 1・2 年次の学習が大幅に楽になる。高校英語との学習コストの重なりが大きいこの時期に投資しておくと、のちのスコアアップの土台になる。

高校生の学習戦略:大学受験英語との相乗効果を狙う
TOEIC の文法問題(Part 5)は大学受験の文法問題と重なる部分が多い。受験英語の学習が TOEIC スコアに直結するのは高校生の強みだ。Part 5 の効率的な学習法はTOEIC Part5完全攻略ガイドで確認できる。
たとえば次のような問題は、大学受験の文法問題でも頻出のパターンだ。
例題(Part 5 比較級)
The new library is much ______ than the old one, with twice as many seats.
- large
- larger
- largest
- largely
解答・解説を見る
正解: (B) larger
直後に than があるため比較級が入る。「新しい図書館は古い方よりずっと大きい」という意味で (B) larger が正解。much は比較級を強調する副詞。(A) large は原級、(C) largest は最上級(the を伴う)、(D) largely は副詞で than と結びつかない。比較級と than の対応は大学受験英語と共通する基本ルールだ。
一方、リスニング(Part 1〜4)はビジネス場面での英語が中心であり、大学受験ではほとんど扱われない。高校生が TOEIC のリスニング力を伸ばすには、Part 別の問題形式に慣れる練習が必要だ。TOEICリスニング完全攻略ガイドでPart別の形式と強化の手順を確認してほしい。

受験タイミングの選び方
高校生が TOEIC を受験する場合、時期の選び方が重要だ。TOEIC は年間 10 回以上の受験機会があり、高校生でも申し込みできる(18 歳未満は保護者の同意が必要)。推薦・AO 入試を目標にするなら、出願締め切りの 3〜4 か月前に本番を 1 度受けてスコアを把握し、必要であれば再受験する流れが現実的だ。
一般選抜の直前 3 か月(秋以降)は共通テスト対策に集中すべきで、この時期に TOEIC 対策の比重を高めるのは得策ではない。TOEIC に取り組む時間的余裕があるのは、高校 2 年生の夏〜冬か、高校 3 年生の前半(6 月ごろまで)だ。
高校生が TOEIC を効率よく攻略するための全体的な学習方針については、TOEIC勉強法完全ガイドも参考になる。
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